2011年1月7日金曜日

ARTing 5号 特集・デザインは人を幸せにできるか?

混迷の時代、デザインのあり方の根底から問われています。
今回の特集の巻頭文の一部をご紹介します。

■ デザインの役割
 モダンデザインは一九〇〇年代初頭のドイツ・バウハウスで最初の運動がスタートした。この動きは「美」を合理的、機能的にとらえ、大量生産による「美の民主化」を果たした。
 その後デザインは長い期間にわたり、主に企業の利益追求やコミュニケーションの効率化の中でその役割を果たすことになる。
 デザインはマーケティングの下部(しもべ)となり、生活者の欲望をかき立て、手っ取り早く稼ぐための道具としてその地位を確立した。
デザインが手を貸すことによって拡大した大量消費は、結果的に環境やエネルギーなど大きな負の遺産を世界に残すことになる。同時に地域社会は高齢化や格差などの課題に直面する。
 最初のムーブメントから約百年を経たデザインは、「美の民主化」から「問題解決」へとその能力を大きく拡大した。そしてデザインは今新たな第三の使命を果たすべき時代をむかえている。
 生活者をマーケットとしてとらえるのではなく、ひとりひとりの市民が幸せに暮らせるために、デザインは今こそその力を発揮しなければならない。

■ Quality of Life
 設立から十三年を数えるFukuokaデザインリーグ(FDL)というNPOがある。建築、グラフィックなど、13のデザイン団体と大学などが中心に運営されている。このFDLのビジョンは「デザインによるQuality of Lifeの向上」である。
 Quality of Lifeとはデジタル技術開発の分野で使われる概念で、ここでは「人生の質の向上のための技術」と解釈される。
 FDLの主張も全く同様のコンセプトで、デザインを企業の利益のためだけではなく、人生と生活の質の向上のために活用しようというものである。
 今回執筆をお願いした各氏はデザインを生業としつつ、NPOや社団法人等、公益の活動に積極的に関わり、デザインの高い志を実現しようとしている方々である。
 それぞれのアプローチは違うが、目指しているのは同じ山の頂上である。
 遥か彼方、雲の上に見え隠れしているデザインの志が姿を現すかどうか、お楽しみ・・・。
                     責任編集・定村 俊満

2011年1月4日火曜日

あけましておめでとうございます。
昨年末 ARTing 5号 発行
現在、6号の発行へむけて進行中です。
本年もよろしくお願い申し上げます。

6号の特集は、「福岡のデザイン力」
ご期待ください。